八丁堀の二人

また時間が空いてしまいましたが、私のマンション探しの続きを。

「とにかく街を歩いてみる」という(当時の私にとっては)画期的な方法を編み出すことができたので、麻布十番を拠点に時間を見つけてはあちこちを歩くことしてみた・・・のが前回までのあらすじです。

これでそう遠くない将来、私にぴったりの住まいに巡り合えると思っていたのですが、私も一人の成人男性ですから、プライベートを全てマンション探しに費やしていたわけではありません。

そう、結婚しました。
当時住んでいた十番の部屋の広さは正に「ベンチャー社長の部屋。築浅マンションにコルビジェソファー」でしたから(コルビジェじゃなくて無印良品グラフィックデザイナーの部屋。文句なしのリノベワンルーム )でしたが)、さすがにここに二人はちょっと厳しい・・・かといってせっかくマンション探しを進めていたのに、このタイミングで賃貸に腰を落ち着かせてしまうと検討が億劫になってしまいそう・・・今より少しだけ広めで好きなタイミングで出ていける都合の良い部屋はないだろうか・・・ありました。

こうして、あるご縁で賃貸で住むことができたのが、八丁堀の分譲マンションでした。1DKで42㎡くらいだったでしょうか。

「八丁堀に住む」って、どんなイメージでしょう?
私が住んだのは新川でしたから、住所で言えば八丁堀、湊、入船あたりが環境としては近いかと。
正直当時の私は「オフィスばっかりで住むようなとこじゃないんじゃね?」と思っていました。無知とは恐ろしいものです。

一言で言うと、八丁堀はいいぞ。スゴクいい。
都心が近い。本当に近い。東京駅はもちろん、少し頑張れば、銀座や丸の内からも歩いて帰れます。
利用可能駅も豊富。JR・日比谷線の八丁堀を最寄りに、茅場町新富町も使えます。
居酒屋からオサレなところまで、飲食店も充実。
散歩も楽しい。日本橋人形町・築地も徒歩圏内だし、タワマン群を眺めながらの隅田川ウォーキングも気持ちいい。
(ウチには当時子供がいませんでしたが)同エリアでほぼ永住を決めた大先輩弁護士によると、実は子育て環境も良い。ディズニーランドの舞浜へも電車で15分。

豊洲・佃のリバーシティ・月島・勝どきよりも都心に近いのに、大規模開発エリアではないせいか知名度では負けているのがもったいない。

・・・そんな八丁堀で快適な新婚生活を過ごした私達夫婦は、ここを終の棲家とすることに・・・なりせんでした。

うーん、前回も書いたように、やはり街には好みというものがあり、便利で快適であってもしっくりこないものはこないのです。夫婦二人とも同じことを思いました。多少都心から離れても、賑やかな商店街とか公園とか神社とか畑とかが近くにある住宅街っぽい住宅街がいいなと。高いところは苦手だなと。ゴンドアの谷の歌にあるように、人は土から離れては生きられないのだなと。

そんなわけでマンション探しは続くのですが、これまでと違い二人旅となりますから見えてくる景色も変わってきます。そのあたりのお話は、また今度。www.tv-asahi.co.jp

クローズアップ現代+の感想

北川景子久保田祐佳アナのいずれをとるか迷いましたが、さすがにこの仕事をしていて今回見ないわけにはいかないので後者を選択しました。

www.nhk.or.jp

番組で取り上げられたテーマのうち、私が気になった点に絞って感想を書いてみます。

1.標準管理規約に関する説明が不十分
「どうするマンショントラブル!?『新ルール』で住民激震!?」がタイトルだったわけですが、取り上げられた「新ルール」は建替え決議要件と改正標準管理規約でした。

心配していたとおり、番組では標準管理規約について「マンションの憲法」「新ルール」と説明されていました・・・大きな誤解を生みそうです。

私の過去のブログで再三しつこく書いてきたとおり、標準管理規約はあくまで国交省が作成する「モデル」であり、法的拘束力はありません。

momoo-law.hatenadiary.jp

しかも、番組で示された「価値による議決権区別」は改正標準管理規約に直接盛り込まれているわけではなく、標準管理規約へのコメントで示された一つの考え方の例に過ぎません(つまり、モデル中のモデルです。)。

管理規約は各管理組合が定めるものであり、標準管理規約を「参考」にすることもできますが、無視することも可能です。
番組の説明の仕方では、あたかも改正標準管理規約が法的拘束力を有しているとか、各管理組合の規約が自動的にそれに変更されてしまうかのような誤解を生みかねないと懸念されます。
番組としてはまず「モデルに過ぎない」という大前提を説明すべきであったと思います。
※9月1日編集:上記番組HPの「質問コーナー」にて、「改正された標準管理規約は必ず採用しなければならない?」に対する回答として「ひな型である」旨の説明が加えられたようです。

2.長期間合意形成に努力した団地
20年も前から危機感を抱いていた団地理事長さんが丁寧に所有者間のコミュニケーションを図った結果、最終的に建て替えではなく修繕・維持が全会一致で選択されたケースが紹介されました。
この団地では「住民が共に楽しめる場を作る」という理念により、週末の「語らいの場」や「集会所カフェ」や夏祭りを開催して一体感を醸成し若い世代も増やしたのことです。とても素晴らしい取り組みだと思います。
「人がつながることを信じた方がいい」という理事長さんの言葉が印象的でした。

コミュニティー活動に関し消極的なご見解の福井先生も番組でコメントされていましたが、こうした団地の活動や成果についてどのようにお感じになられたのでしょうか。

momoo-law.hatenadiary.jp

3.應田治彦さんの活動とリーダーの資質
修繕積立金の大幅値上げへ向けた努力と工夫が紹介されました。
これが「自分たちの問題だ」という意識の重要性を浸透させるべく、一人だけのための説明会を開き、管理組合が運営するHPで情報を発信し、お年寄りのためには大きな文字のチラシを用意するといった工夫をし、9割の賛成を得て実現したとのことです。
管理組合のリーダーが豊富な知識や高い理想を備えているに越したことはないですが、それらよりも、他者への配慮ができる心が求められると改めて感じました。

4.マンションと人付き合い
番組のゲストであった室井佑月さんは「挨拶程度で済ませたいからマンションを選択した」とのことでした。
しかし、その目的でマンションを選択したことが私には理解できません。
建物の構造だけを見ても、マンションは戸建てよりも人間関係が密接になることを容易に想像できると思います。
これからお住まいを選択する方は、「極力人付き合いを避けたい」のであれば、マンション購入はお勧めしません。物理的にも法的にも人付き合いを避けて通れませんから。

5.家売るオンナ
番組終了後直ちに日テレに移りました。
篠田麻里子も決して嫌いではないのですが、北川景子の美しさが際立ちますね・・・。

www.ntv.co.jp

ゴジラに学ぶ管理組合における戦い方

シン・ゴジラはいいぞ。

www.shin-godzilla.jp

石原さとみ(の英語)に関しては色々議論があるようですが、あれはあれで良かったのだと私は思っています。彼女のおかげで一呼吸入れられたといいますか。同じ人物設定でより上手に英語を話せる女優だと誰が適任でしょう?水原希子

ともかく、このブームに乗ってブログを一本書いてみます。

ネタバレにならないよう気を付けなければなりませんが・・・この作品は、突如東京湾に現れ上陸し大暴れするゴジラに日本人が如何に立ち向かうか、という物語です。それだけです。だからいいのです。
お察しのとおり東京はメチャクチャにされます。ゴジラの進路からすると私の顧問先マンションも1つ潰された模様です。

・・・実は、そんなゴジラからも、区分所有者の皆さんが学べることがあるのです。

私はしばしば、(理事ではない)区分所有者から「理事(会)の不正を暴きたい」とか「理事(長)を解任したい」というご相談を受けます。
ご相談を聞き続けていくと、その多くが「総会で糾弾したが誰にも聞いてもらえず、理事に立候補したが選任されなかったから何とかしたい。」という話につながります。

・・・こうなってしまうと、なかなか打つ手がありません。
その人物と理事(会)との対立関係が鮮明になりますから、理事交代総会決議の前提となる理事会決議を得ることはほぼ不可能でしょう。また、直接総会招集を図ろうにも賛同者を集めるのは容易ではありません(「揉め事に巻き込まれたくない」という感情により、理事会と対立する形で強く目立ってしまうと周囲から敬遠されてしまいがちです。)。何らかの法的手続をとろうにも、せめて理事の立場を確保していないと証拠集めには大変苦労します。

では、どうすれば良かったのでしょうか。
ここで、ゴジラが何故「東京を壊す」という成果を挙げられたのかが参考になります。
もちろん、総会で物理的に大暴れしてはいけません。

皆様が参考にすべきは「突如東京湾に現れた」という点です。

もし、「ゴジラが太平洋のど真ん中で姿を現し、ゆっくり東京に向かっている。」という事態であったならばいかがでしょう。詳しくは作品をご覧いただかなければなりませんが、日本政府もより周到に準備をすることができたでしょうし、巨災対メンバーももっと余裕をもって対策を立てることができたでしょうから、ゴジラは上陸できなかったかも知れません。

管理組合における区分所有者も同様です。
上記のような思いがあるならば、そのことを表に出さぬまま理事に立候補し、更に理事長に就任してしまうのが最も近道です。それが難しい場合でも拙速に声を上げるのではなく、しばらくは我慢強く隠密行動に徹して少しでも仲間を増やしておくべきです。
「気付かれる前に上陸する」わけです。

管理組合内の抗争を甘く見てはなりません。理念が正しいとしても、それを実現するためには戦略が必要です。もし管理組合の「現政権」にご不満があるならば、是非「声を上げる前に」ご相談ください。

・・・以上は区分所有者のためのアドバイスです。

ということは、理事(会)としては逆に「ゴジラを上陸させず」又は「上陸したゴジラの破壊力を低下させる」ための準備をしておかなければなりません。
東京湾に現れてからでは手遅れになりかねませんから、お気軽にお早めにご相談ください。尾頭さんとおそろいのPCを携えてお待ちしています。

matome.naver.jp