練馬区の都議会議員の先生!見ているなッ!

※「答え合わせをしたい」という声が何件か寄せられましたので、やや不本意ながら例の箇所は太字にしておきました。

まずは、こちらの記事を読んでみてください。

・・・はい、読みましたか?それでは間髪入れずに、のらえもんさんのブログをお読みください。

・・・お疲れ様です。
このプレジデントオンラインの記事に関して私が指摘すべきことは殆どのらえもんさんが網羅してくださいましたので、私はもう書く必要はないなと思っていました…が、一晩読んだマンガに影響されて、マンションに関わる者として、やはりありのまま今怒っていることを話すぜ!

練馬区都議会議員の先生が、オンラインプレジデントの記事以外に根拠を示さずに、悩みに悩んで高いお金を払って購入し、長期間ローンを支払い、暮らし、管理会社に安くない代金を払い、ボランティア同然で管理組合のために時間をとられて家族を犠牲にして嫌な思いをしてまで健全に維持しようと懸命に頑張っている人達のマンションを『間違いなく負の遺産になる』と公言した」
な…何を言っているのかわからねーと思うが(以下略)

あれ、似たようなことで以前も怒ったなと思ったら2年半前に書いてた。

あー、あとこれを思い出した。
 

百歩譲って「いやまぁこれも仕事ですから」という記者や評論家といった方々は良いとして(良くないけど)、選挙で都民に選ばれた都議会議員さんがそんなことしてどーすんですか。

未だに何の反応もありませんが(いりませんが)、あまりに酷いのでこんな風に大人げなく突っ込み続けてしまいました。
最近のツイートでも「発言を切り取られて苦労」されていると仰っているので、 

ツイート一式をどうぞ。

このあたりから、ディオが泣くまで殴るのを止めないジョナサンジョースターの気持ちになりました。

何故私はこんなに燃え尽きるほどヒートしているのでしょうか?
「さてはお前、新手のタワマン管理組合の顧問弁護士だな?ポジショントークか?」と問われれば「YES!I am!バァーン!」と答えるほかありませんが、それだけではありません。

タワーに限らず、マンション管理って奥が深いですし、何より大変なんですよ…。

私は、管理組合の顧問・相談業務はもちろん、日本マンション学会、行政やマンション管理士会が主催する相談会、RJC48やコミュニティ研究会などの勉強会における管理組合とのお付き合いを通じて、皆様が手間をかけて悩み苦労されている姿を目の当たりにしています。

そして、私自身も(仕事ですから当然ですが)、少しでもこうした皆様の力になるべく、マンション管理士資格を取得し、その後も勉強を続け、書籍を買い集め(全て読んだとは言ってない)、専門誌や判例雑誌によって資料を収集したり(全て読んだとは言ってない)、それらを整理して情報を発信したりています。「勉強します」…そんな言葉は使う必要がありません。なぜなら私がその言葉を頭に思い浮かべた時には!実際に勉強しちまってもうすでに終わってるからだッ!だから使った事がねェ―――ッ(よくある)。

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現在保有しているマンション管理に直接関わる法律書です。実際にはこれら以外にも賃貸借、登記、財産管理、相続、建築等の様々な法分野が関連しますし、そもそもマンション管理において法律はごく一部の要素に過ぎません。

 

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私が日々収集している裁判例等の資料一覧です。ランダムにツイートしています。

都議会議員さんがどの程度マンション管理のことを勉強されたのか存じ上げませんし興味もありませんしツイートからもある程度予想できますが、決してオンライン記事一つ見て「間違いなく負の遺産になるッ!スラム化するかも知れないッ!」なんて言えるような簡単なものではないのです。

もちろん、タワーマンションの管理が今後正念場を迎えることは確かです。タワマン特有の問題点は数多くありますし、それらの事情を理由にタワマンを敬遠するのも選択肢として不合理ではありません。また、都市計画上の政策的判断としてタワマンが規制を受けることもあり得るでしょう。それでも大切なのは「良好な管理に向かおうとする意思」だと思っています。向かおうとする意志さえあればたとえ今回は余計なdisを受けたとしても、いつかはたどり着きますよね?向かっているわけですから…。違いますか?

都議会議員さんにおかれては、今後はくれぐれもこうした安易なタワマンdisは控えていただき(というか、タワマンに限らず何でも安易にdisっちゃイカンよ)、明日にでもせめてのらえもんさんブログをよく読んでマンション管理について勉強していただきたいものです。明日って今ですよ。

・・・と昨日ここまで書いて本記事を公開したのですが、どうせ勉強していただくならのらえもんさんブログ以外にもチェックすべきブログやTwitterアカウントがありますので、ここでご紹介しておきます(他にもあるかも…。都議会議員さんに限らず、本記事を読んでくださった皆様、是非ご参考ください。)。

はるぶーさんのブログ(説明不要)

とほほさんのブログ(やや辛辣なマンション管理員さんの貴重な知見)

ミッキーさんのブログ(16年間の理事長経験によるノウハウ満載)

黒ひつじくん先生のブログ(マンション管理士さん視点による解説)

ハルミズムさんとがりべんさんのTwitter(マンションBPSという斬新・画期的な手法でマンションを評価)

 

 さくら事務所さんによるBORDER5(管理の観点からの中古物件評価)

www.border5.com


マンション管理士試験の前に小麦100コロス

今年もマンション管理士試験が近づいてきました。
受験を予定されている皆様、調子はいかがでしょうか。
まだまだ不安だという方、合格可能性が爪の先くらいアップするかもしれませんので、私のブログをご参照ください。

さて、合格するに決まっているという方はもちろん、ちょっと怪しいけど本番に向けてテンションを上げていきたいという方、息抜きにこちらの本をどうぞ。

ネタバレは避けなければなりませんから一言で感想を述べますと…

面白い。マンション管理士の方、その受験生(で現在時間的余裕がギリある方)、管理組合役員の方(又は役員になっちゃいそうな方)、管理会社の方は是非どうぞ。一気に読めば2~3時間でイケるかと。

小説である以上多少は現実・実務と離れている箇所はありますが、本当によく取材されたのだなぁと感心しました。「ああ、こういう〇〇、よくいるいる」という登場人物が何人も出てきますし、マンション管理士というお仕事やその環境、理事会・総会の様子や、〇〇を〇〇している区分所有者と対峙する場面も、少なくとも私の感覚ではとてもリアルに描かれています。
受験生の方は、例えば物語中で発生する「イベント」が区分所有法や標準管理規約のどの条文に関するものかを確認しながら読めば、勉強にもなると思います。
なお、指摘するのも野暮なくらいの形式的なことながら(といいつつTwitterでは触れてしまったのですが)、区分所有法の条文について2点気になる点を見つけました。ネタバレはできませんし条文を調べればすぐに分かることですから、ここでは答え合わせはしません。

もう一つ、これは割と重要なことなのですが、マンション管理士という資格の「限界」を考えさせられる場面もありました(作者のゆきた氏も問題意識をお持ちのようで、慎重な描写になっています。さすが。)。
この点は追って検討したいと思っています(いつとは言ってないし、ブログに書くとも言ってない。)。

宇崎ちゃんが二子玉川と武蔵小杉のタワマンで献血する話ではありません

先日の台風19号で被害を受けられた方々やご遺族の皆様にお悔みとお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈りいたします。

この台風による被害状況が徐々に明らかになってきておりますが、その中でも一際注目を集めているのが二子玉川付近での多摩川氾濫と、武蔵小杉のあるタワーマンションにおける設備(トイレやエレベーター)の不具合です。
そして、こうしたニュースを受けて、SNS(私が主に見ているのはTwitter)にて多くの方が二子玉川や武蔵小杉、そしてタワマンについて書き込んでいます。

その中でも目につくのは「二子玉川のような川沿いに住むのは〇〇」、「武蔵小杉は〇〇コスギだ」、「タワーマンションを買うなんて情〇」といった内容です。これらが合理的な根拠を踏まえての指摘であれば「批判」や「評論」といえますが、そうでなければただの誹謗中傷です。

ここでいう「根拠」には科学的根拠や統計的根拠などが含まれます。といっても、私は「専門的知識がなければモノを言うな、書くな」と言いたいわけではありません。

ある程度は自分で調べた上で、「調べていないことや調べても分からないことがある」ことを自覚し、それに相応しい内容を、相応しい書き方で書くべきだ、と考えています。
そして、私を含め上記のような専門的知識がない「書き手」であっても、大まかな「事実関係」は調べることが可能です。

例えば、台風発生後、ある有名ブロガーの方が、武蔵小杉のタワマンで発生した設備不具合について具体的な物件名を挙げて取り上げました。
ところが、その挙げられた物件は、実際に不具合が起きたのとは違う物件でした。
その物件の管理組合が直ちに公式に指摘したところ、速やかにそのブロガーは訂正記事を発信しましたが(その対応はさすがだと思います。)、一度誤情報が拡散されてしまうと悪影響はなかなかおさまりません(なお、この管理組合は独自の公式サイトやTwitterアカウントを備えており、その有用性についは別の機会に触れたいと思います。こうした「発信手段」があれば「反論」できますが、なければ風評被害は一層拡大してしまうでしょう。)。

また「今回の台風によりタワマンの脆弱性が鮮明になった」という論調も散見されます。
本当にそうでしょうか。武蔵小杉だけでも10棟以上、月島・豊洲有明・晴海・東雲・港南といった湾岸エリアのみならず都心や二子玉川にも多くのタワマンが建っていますが、台風19号によりトイレやエレベーターが使用不能になった物件はいくつあるのでしょうか。あるタワマンと、それと同エリアにある戸建てや低層物件とを比べると、被害の程度は前者の方が激しいのでしょうか。仮に20年(240か月)居住するタワマンで「数十年に一度の台風」により仮に1月トイレが使えなくなった(≠「使えなくなる」)ことが、どれほど資産価値に影響を与えるのでしょうか。実際、台風後に価格は下がっているのでしょうか。
なお、不具合が生じた武蔵小杉のタワマンでは、デベロッパー・管理会社が重要案件として取り組み、また多くの住民も一丸となって復旧に尽力している、と聞いています(私が信頼している筋の情報ですが、これを信じるか匿名掲示板の書き込みを信じるかは、お任せします。)

もちろん、これらの事情については現時点で分からないことがありますし、人によって評価が異なることもあるでしょう。ただ、こうした「分かることや分からないこと、人によって捉え方が異なることがある」を意識していれば、おのずと「書き方」も冷静になり、建設的な議論の素材とし易くなるはずです。

ここまでくどくどと述べていると「桃尾は管理組合の仕事をしているからポジショントークなのでは」と言われそうですが、まあそうです。確かに複数のタワマン管理組合の顧問を務めていますので(二子玉川はまだありません。ご相談をお待ちしております。)、タワマンへの不当な攻撃に一言言いたくなったわけです。私自身はタワマンに住みたいと思ったことはありませんし、住まいは(しょっちゅう湾岸タワマンと「対立」(?)している)世田谷のド低層マンションですが。

さて、この台風とタワマンとは全く別の問題ながら、同じように気になる話題がありました。これです。

こちらについても、いろいろな意見や感想があることでしょう。それをSNSで表明して議論することも当然「アリ」です。ただ、議論の前提となる事実関係は、やはりできる限り確認しておくべきです。

「『公共空間』といっても、このポスターが駅や公道や飲食店内などに広く貼られているのか、それともキャンペーン会場の入口やその中だけなのか」、「そもそも、このキャンペーンはどのような経緯・目的で実施されているのか」といった事情によっては議論のテーマが変わってくるはずだからです(「どんな事情があろうともこの絵そのものがセクハラだ」とか「とにかくキモイからキライだ」ということなら、それも一つのご意見です。)。

このポスターを「無神経」だとか「セクハラ」だとかという指摘は、こうした議論の土台作りを経ていれば「批判」といえますが、そうでなければ「誹謗中傷」ではないでしょうか(特に「セクハラ」という用語は法律的意味も絡んできます。)。
「批判」や議論は、例えばこういう実地報告を把握してからでも遅くはないと思うのです。

以前弁護士ツイッタラーの間で話題となったように、ある弁護士が、ある刑事事件の無罪判決報道に触れ、それを「批判」しようと思うならば、まずはできる限り判決の内容を確認し、全てが明らかにならないのであればならないなりの「書き方」で批判するはずであって、それと同じことです。

ところで、私はこのような「ターゲットを絞った広告」の方が「万民受けする広告」より効果的だと思います(今後もずっと宇崎ちゃんでいくわけではなさそうですし。)。万民受け広告で足りるのであれば、こういういらすとで献血がたくさん集まるはずですから。
献血のイラスト