マンション管理の評価とは

ご無沙汰しています。
ブログを書かなきゃ書かなきゃと思いながらも本業が忙しく(ご存知の方もいると思いますが、私はマンション管理以外の仕事もしています。スプラトゥーンとか。)、前回記事から4か月も経ってしまいました。そろそろ寡作かつ遅筆ブロガーの仕事も再開しなければなりません。

そんな中、株式会社さくら事務所さん主催のセミナーにお邪魔して参りました。

「 管理の評価が経済的価値(価格・ローン審査・行政による補助等々)に反映されるマンション市場」を目指す長嶋さんと、登壇されたトップランナー理事長(イニシア千住曙町の應田さん、白金タワーの星野さん)の熱い思いがほとばしるセミナーでした。

「管理の評価が価値に反映されるからプレーヤー(売主・買主・不動産業者(仲介))が管理に関心をもつ」のか「プレーヤーが管理に関心をもつから価値に反映されるのか」は鶏と卵の話のようですが(多分同じこと言ってる)、いずれにせよ私も長嶋さんが掲げる目標に共感しますし、そのために努力し続けなければならないと思いながら今日も怪文書を読んでいます。

実際、長期間に亘り管理組合が機能不全に陥り、違法民泊が横行し、敷地の権利関係も曖昧で、滞納管理費等が1000万円を超え、それらの対策のため私が一時期お手伝いしていたマンションでも、立地の利便性が高いからか相場水準での取引が頻繁に繰り返されていました。
管理改善に尽力されていた理事の皆さんは「意外によく売れますね…私も売ってしまいたい」とこぼしておられ、「要するに多くの買主・仲介は購入に際して管理状況など気にしていない」のだと私も呆れていました。

しかし、実はこれも一面的な見方であろうと、セミナーで改めて気づかされました。
質疑応答の最後に、登壇者のお二人と並ぶほどのマンション管理の超重鎮であるミッキーさんから、次のようなご指摘があったのです。
※マンション管理に関心がある方、twitter(@micky_enu)やnoteのフォロー推奨です!

「(さくら事務所が新たに展開するマンション管理の評価サービスである)BORDER5は評価基準を設けているが、ファミリー、単身、DINKS、投資用等々、マンションにも色々あり、それらの評価基準は異なるべきではないか」

大変鋭いご意見であり、さくら事務所さんも賛同され、(現在はファミリー向けを想定しているとのご説明に加えて)今後は評価基準が妥当するタイプを明記したりタイプ別の基準を設けることも検討される、とのことでした。

確かに、上記お三方はトップランナー理事長という点で共通するものの、この方々だけを比べても、実は目指す管理組合の姿は全く異なります。
また、例えば一言で「ファミリー向け」といっても、一般的には「組合員による自主的・積極的な管理がなされ管理会社に過剰に依存していないこと」が高評価材料とされていますが、高品質な管理を安定的長期的に維持し、そのブランドを保つために、あえて管理権限を管理会社に集中させている超富裕層向け物件もあります。
そして、私が関与した上記マンションも、ほぼ投資用物件であることから(もちろん管理不全ではいけませんが)「いわゆる『充実した管理組合』」は必ずしも期待されていない(極論すれば、手間がかかったり、高額なランニングコストが生ずることは、個々の所有者にとっての資産価値を毀損しかねない)ため、取引に支障が生じていなかったのだと思われます。

このように、管理組合の評価は決して簡単ではなく、一面的・固定的な評価は却って市場の混乱を招いてしまうことでしょう。
しかし、それでもなお長嶋さんが掲げる目標はマンション管理業界全体として取り組むべきものですから、先駆者として困難な道を切り開いていただきたいと思います。

そしてこうした目標は、各マンションの所有者が管理に関心を持ち、それぞれの事情や特性に応じた管理体制実現のためにゆっくりでも歩き続けなければ決して実現しません。
けれど、歩き続けた努力が評価・価値への反映によって報われる時が必ず来るはずです。怪文書の応酬をしている場合ではないのです…。