標準管理規約&区分所有法対照表 -マンション管理士試験の勉強と規約改正のお供に-

面白いですよね、鬼滅の刃
もうオジサンの私は、読めば読むほどジョジョハンターハンターるろうに剣心を思い出してしまいます。

といっても、新型コロナの自粛生活でマンガばかり読んでいるわけではなく、息子に無惨と名付けなかった自分の判断に感謝の正拳突きをしながら日々業務と勉強に猪突猛進しておりまして、勢い余って標準管理規約と区分所有法の対照表を改良してしまいました。

作成ではなく改良です。
まだ妹が鬼になる前のことですからお忘れの方もいらっしゃるかも知れませんが、元はマンション管理士試験対策記事のおまけとして作ったものです。

これ以上情報を盛り込むと却って分かりづらくなりそうですし、何しろ作る作業が面倒で面倒でもう関わりたくないと思っていたところ、先日Twitterでこんなご意見が。

なるほど。確かにこうしておけばマンション管理士試験の勉強にも役立ちますし、規約を改正する際にも「この条項は変えてしまってよいのか」とか「どのように変えられるのか」も分かり易そうです。色付けするだけなら大して手間にもならなそうですし。

・・・やってみたら超面倒。しかも色分けの判断がなかなか微妙(①は明確ですが②~④は結構考え方次第)。
でも、マンション管理柱の一人になるために頑張りました。

ついでに、区分所有法側の表に「規約の定め」を要するのか「集会の決議」で足りるのか、日数や定数を「伸縮」できるのか「伸長」「減ずる」しかできないのか、を強調する下線を引いておきました。
例えば、同法第参拾伍条壱項は、集会招集通知を発しなければならない時期を「規約で」「伸縮」できる(「集会の決議」では不可。延ばすことも縮めることもできる。)ことを定めています。
他方、建て替え決議に関する同法第陸拾弐条は、「規約で」「伸長」することしかできないとしています。
これらはマンション管理士試験でも出題されますし、規約改正時にも要注意であることから、下線で強調したわけです。

前回同様、もちろんこのデータはご自由にダウンロードしていただいて結構です(代わりにと言ってはなんですが、本ブログについてブックマーク、シェア、ツイートなど拡散していただけると嬉しいです。)。
ただ、同じく前回同様殆ど見直しをしていませんから、間違いなどは少なからず混じっていると思います。少しでも疑問に思ったところは、原典にあたって確認してください。言うまでもなく、この資料の正確性やダウンロードの過程で生じた事象について私は一切責任を負えませんので、ご留意ください。

ファイルはこちら↓から。是非マンション管理士試験と規約改正の最終選別を勝ち抜いてください!

https://d.kuku.lu/36df783520

新型コロナを理由とする管理費等滞納への配慮

先ほど、私が事務所近所で黒胡麻担担麺をヒンナヒンナしてポロシャツにシミをつけている間に、39県の緊急事態宣言が解除される旨の会見が開かれたようです。
とはいえまだまだ油断はできませんし、管理組合からの新型コロナに関するご相談も途切れておりません。

このブログでもこの点に関し数件記事を書いてきましたが、一つ大事なことを忘れていたところ・・・、著名なマンション管理士である(その枠に止まらず大変幅広く活躍されている)廣田信子さんのこちらのブログに気づきました。

廣田さんの優しいお人柄が伝わる記事であり、お気持ちは大変良く理解できます。
理解できますが…賛成することはできません。理由は以下のとおりです。
なお、管理組合側の選択肢は支払の時間的猶予、元金や遅延損害金の免除など色々あるものの、それらをどのような条件で行い得るかという点は一旦ここでは割愛し、抽象的に「配慮」としておきます。また「支払義務がある(請求する権利がある)」という点は当然のことなので、こちらにも触れません。

1.原因による区別
そもそも、管理費滞納の理由がコロナか否かで区別する意味はないと思います。
もちろん、コロナによる経済的困窮は大変気の毒なことです。
しかし、同じように本人に全く責任がなく同情すべき理由で経済的に困窮する例はいくらでもあります(病気、事故、勤め先の破綻など)。
これらについては配慮せず、コロナについてのみ配慮する合理的理由はなさそうですし、公平の観点からも適切ではありません。

2.原因の確認
仮に「区別すべき」と考えるとしても、それが「コロナが理由である」ことや、それによって「実際に収入が減った」ことを、どうやって確かめられるでしょうか。
中には「長年の関係を通じてお話を信頼できる」という方もいるでしょうけれど、それを他の組合員に説得的に説明できるでしょうか。また、そのような「関係」がある方とない方とで区別してもよいものでしょうか。

3.調査・判断に伴う負担
「コロナにより経済的に厳しいから配慮してほしい」という申入れに対し、誰が調査し対応するのでしょうか。管理会社は連絡窓口になってはくれますが、その調査や判断は理事長や理事会でせざるを得ません。
「帳簿や通帳を精査する」能力がある理事がいるとは限りませんし、そのような特別な負担や調査に係る責任を負わせてしまうことになります。

4.意見対立
廣田さんと私という二人だけの間でもこうして意見が違うのですから、組合員相互間でも「配慮すべきだvsすべきではない」という意見対立が生じます。しかもテーマは管理費という管理組合の根幹に関わり組合員の利害に直結する問題であるため、対立は深刻化し易いと言わざるを得ません。「配慮」の目的は円満なコミュニティの維持であったはずなのに、かえって管理組合内に分断を生じさせてしまいかねません。
また、最近の政府は対コロナ政策において「自粛を強化すべきvs緩和すべき」という意見対立の中で専門家を起用し判断をくだしています(その是非についてはここでは触れません)。そして、どのような判断であろうとも(仮に将来歴史が「正しかった」と評価しても)、それは激しい批判に晒されます。
管理組合のプロでも専門家でもなく、管理費の滞納自体には何の責任もない理事長にその重圧を加えるのは酷でしょう。

概ね以上の理由により、私は「新型コロナを理由とする管理費滞納への配慮」は、すべきではないと考えています。
それでは、どうすればよいのでしょうか。

苛烈に取り立てる必要はありませんし、そんなことをするべきでもありません。滞納を理由に根拠のない不利益を与えたり村八分にすることなど言語道断です。
何も特別なことをしなくてもよいのです。粛々と淡々と、とるべき手続を踏めば足ります。そのように進めたとしてもある程度時間はかかりますし、法的手続に踏み切ったとしても短期間で終わるわけではありません。
こうした時間を使って、手続と並行して協議しつつ事態の改善を待てばよいのです。
その結果、残念ながら「やはり払えない」ということであれば、それまでの手続を活かして次の段階に進むことができ、時間を無駄にしません。何より「やるべきことをきちんとやっている」のですから、他の組合員の理解も得られることでしょう。

冷たい対応であるように感じられるかも知れませんが、管理組合という団体の特性からすれば、このような対応の方が円満なコミュニティを維持できるのではないかと思います。

 

Zoom等のweb会議による理事会

この件について、顧問先管理組合を中心に多くのご相談を受けています。特に、先般当ブログでもご紹介した「理事会決議による総会延期」に関し、「そのための理事会を開くことも躊躇している」というご相談です。
普段は、顧問先に提供した助言をすぐにブログにアップすることは避けており、また今回ほど踏み込んだ裁判所の判断予測も書かないのですが、何しろ緊急事態ですから皆様のために頑張りました…ので褒めてください。そして、コロナ禍が収束したら(収束しなくても)顧m(以下略)。

なお、管理規約はマンションごとに異なりますので、ここではいつもどおり標準管理規約を前提に検討します。

1.標準管理規約の規定

第53条1項
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。

第53条に関する標準管理規約コメント⑤
理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる。

第52条4項で準用される第43条1項
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して組合員に通知を発しなければならない。

これらの条項やコメント(簡単に言えば、国交省による標準管理規約に関する補足説明です。)の文言を素直に読めば、標準管理規約はあくまで「メンバーが一堂に会して直接議論する方法によるリアル会議」を想定しており、「Zoom等を活用したweb会議」は規約の定めがない限り行えない、とも思えます。
もちろん、今後web会議を行いたいという管理組合におかれては、こうした規約の整備を進めておくべきです。
では、規約上明確にweb会議に係る規定がないと、理事会をweb会議で行うことはできないのでしょうか。

2.リアル会議の趣旨
標準管理規約がリアル会議による理事会を想定している趣旨は「理事が対等・公平な立場で現実に意見を交換し、その議論に基づき決議される」という意思決定の「品質」維持にあると解されます。
この点web会議も、少なくともネット環境が安定している状態のZoomであれば上記趣旨にかなった方法であると思われます(以下、web会議はこうした性能を備えていることを前提とします。)。

では、そのようなweb会議であれば、規約に明確な規定がなくとも理事会で採用して良いでしょうか。

3.web会議採用の態様
そもそも「理事会をweb会議で行う」と一口でいっても、その態様は以下のように分けられます。実際、私へのご相談でも以下の両パターンがありました。
①通常の「リアル会議」を行いつつ、web会議による参加も認める「併用型」
②web会議のみの方法で行う「web限定型」
順に検討します。

(1) 併用型
上記のとおり現在のweb会議自体はリアル会議の趣旨を充たし得るといえます。
そして、物理的・技術的にweb会議に参加できない理事はリアル会議に出席すれば足ります。リアル会議にも参加しない理事がいたとしても、そのような理事が(定足数に抵触しない範囲で)存在することは現行規約でも元々予定されています。出席の選択肢を広げる方向の修正であり、これにより制約を受ける理事はいないはずですから、web会議について明確が規定のない現行標準管理規約の下でも、併用型を採用することは可能であると考えます。

※ここで「可能である」とは、緊急事態宣言がなされたという状況を踏まえて、「仮に理事会決議無効確認訴訟が提起されても、裁判所が『手続に瑕疵がない』又は『瑕疵はあるが決議を無効とする重大な瑕疵ではない』と判断すると(桃尾が)予想する」という意味です。形式的には標準管理規約に抵触するであろうこと及び規約の明確化が望ましいことは前述のとおりです。以下も同様です。

(2) web限定型
「web会議もリアル会議の趣旨を充たす」という点からすれば、これも差し支えないでしょうか。
理事全員がweb会議に参加できるのであればそのように言えると思います。ファミレスなどの騒々しく情報管理上の配慮が必要な環境で行うリアル会議よりも、各理事が静かな自宅に居ながらにして行うweb会議の方が適しているとさえいえるでしょう。なお、本筋からは外れますが、この点カラオケボックスは便利です。残念ながら今は多くの店舗は営業を止めているようですが。

問題は、「物理的・技術的にweb会議に参加できない理事がいた場合」です。
この場合にweb限定型を強行すると「規約上の根拠がない方法がとられたことによって、理事会に参加する権利を侵害された理事」が生ずることになりますから、そのような理事会の決議は無効であると判断されるリスクが増すと言わざるを得ません。

では、一人でもweb会議に参加できない理事がいる以上、web限定型は採用できないのでしょうか。平時ならそれも仕方ないかも知れませんが、やはり緊急事態にある中でリアル会議を行うリスクを考えると、話はそう簡単ではないはずです(地域、理事の人数・年齢、マンション内や近隣における会議に適した環境の不存在、といった事情から「理事会程度の規模であっても集まるのはリスキー」と考えても不合理ではないでしょう。)。

そこで「このweb会議に参加できない理事」に対し「リアル会議にできるだけ近づくような権利行使の機会を与える」方法を考えることになります。
最もシンプルな方法は、そのような理事から「理事会をweb会議で行う旨の承諾」を得ることです。もちろん、文書やメールといった形に残る方法で、web会議欠席理事「全員」から取得するべきです。

ただ、この場合ウェブ会議欠席理事はweb会議での議論に参加できませんから、議案に対する意見や賛否の表明は「ア 総会での議決権行使書のように事前に行う」か「イ web会議の後に、その議論を踏まえて行う」ほかありません。

リアル会議の趣旨からすれば、イの方が丁寧であるといえます。理事会における委任状提出・書面による議決権行使は少なくとも文言上明確には認められておらず推奨もされていませんし、web会議欠席理事は「自身の意見・賛否を知ってもらえばいい」だけでなく「他の理事の意見に対する自身の反対意見も踏まえて賛否を決してもらいたい」はずだからです。
とはいえ私は、アを採用したとしても、それによって決議無効を評される可能性は然程高くないのでは、と考えています。当該理事自身がこうした要請を放棄しているといえるからです。

さて、残る問題は「web会議にも参加しないし、web会議を行うことも承諾してくれない理事がいる場合」です。理事会内で意見対立が生じているといった状況では起こり得る事態です。このような場合に、リアル会議の趣旨に近づける方法はあるでしょうか。

私は、上記イの場合の具体的手法の応用によることを考えていますが、さすがに長くなってきたので本日はこの辺で。