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ゴジラに学ぶ管理組合における戦い方

シン・ゴジラはいいぞ。

www.shin-godzilla.jp

石原さとみ(の英語)に関しては色々議論があるようですが、あれはあれで良かったのだと私は思っています。彼女のおかげで一呼吸入れられたといいますか。同じ人物設定でより上手に英語を話せる女優だと誰が適任でしょう?水原希子

ともかく、このブームに乗ってブログを一本書いてみます。

ネタバレにならないよう気を付けなければなりませんが・・・この作品は、突如東京湾に現れ上陸し大暴れするゴジラに日本人が如何に立ち向かうか、という物語です。それだけです。だからいいのです。
お察しのとおり東京はメチャクチャにされます。ゴジラの進路からすると私の顧問先マンションも1つ潰された模様です。

・・・実は、そんなゴジラからも、区分所有者の皆さんが学べることがあるのです。

私はしばしば、(理事ではない)区分所有者から「理事(会)の不正を暴きたい」とか「理事(長)を解任したい」というご相談を受けます。
ご相談を聞き続けていくと、その多くが「総会で糾弾したが誰にも聞いてもらえず、理事に立候補したが選任されなかったから何とかしたい。」という話につながります。

・・・こうなってしまうと、なかなか打つ手がありません。
その人物と理事(会)との対立関係が鮮明になりますから、理事交代総会決議の前提となる理事会決議を得ることはほぼ不可能でしょう。また、直接総会招集を図ろうにも賛同者を集めるのは容易ではありません(「揉め事に巻き込まれたくない」という感情により、理事会と対立する形で強く目立ってしまうと周囲から敬遠されてしまいがちです。)。何らかの法的手続をとろうにも、せめて理事の立場を確保していないと証拠集めには大変苦労します。

では、どうすれば良かったのでしょうか。
ここで、ゴジラが何故「東京を壊す」という成果を挙げられたのかが参考になります。
もちろん、総会で物理的に大暴れしてはいけません。

皆様が参考にすべきは「突如東京湾に現れた」という点です。

もし、「ゴジラが太平洋のど真ん中で姿を現し、ゆっくり東京に向かっている。」という事態であったならばいかがでしょう。詳しくは作品をご覧いただかなければなりませんが、日本政府もより周到に準備をすることができたでしょうし、巨災対メンバーももっと余裕をもって対策を立てることができたでしょうから、ゴジラは上陸できなかったかも知れません。

管理組合における区分所有者も同様です。
上記のような思いがあるならば、そのことを表に出さぬまま理事に立候補し、更に理事長に就任してしまうのが最も近道です。それが難しい場合でも拙速に声を上げるのではなく、しばらくは我慢強く隠密行動に徹して少しでも仲間を増やしておくべきです。
「気付かれる前に上陸する」わけです。

管理組合内の抗争を甘く見てはなりません。理念が正しいとしても、それを実現するためには戦略が必要です。もし管理組合の「現政権」にご不満があるならば、是非「声を上げる前に」ご相談ください。

・・・以上は区分所有者のためのアドバイスです。

ということは、理事(会)としては逆に「ゴジラを上陸させず」又は「上陸したゴジラの破壊力を低下させる」ための準備をしておかなければなりません。
東京湾に現れてからでは手遅れになりかねませんから、お気軽にお早めにご相談ください。尾頭さんとおそろいのPCを携えてお待ちしています。

matome.naver.jp

各種メディア掲載・出演歴

マニアックなマンション管理問題やふざけたマンション購入記ばかり書いていては私のことを誤解(?)されてしまいそうですので、たまには営業的なアピールをと思い立ち、これまでのメディア掲載・出演歴を整理してみました。
上から、最近のもの→過去のもの、と遡る順にまとめています。
もし今後も掲載・出演の機会をいただければ、随時更新していきます。
(リンク先の一部は有料記事です。)

2017(平成29)年1月31日
ダイヤモンドMOOK マンション管理&修繕 完全ガイド2017
「熱血マンション管理組合理事集団RJC48の本音トーク」
最強!マンション管理組合のつくり方
https://www.diamond.co.jp/magazine/650412417.html
RJC48の主要メンバー座談会に参加させていただきました。

2016(平成28)年5月22日
日経ヴェリタス
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02626570R20C16A5K15200/
管理規約による民泊禁止は区分所有法を根拠とする措置であることを説明しました.。

2016(平成28)年1月12日
産経新聞
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120065-n1.html
民泊自体に関する知識の共有と禁止or許容に係る意思決定が必要であること、そして(禁止するならば)管理規約の整備を急ぐべきという見解を述べました。

2015(平成27)年12月16日
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H97_V11C15A2CC1000/
管理規約による民泊禁止の法的効果と、規制緩和の方向性についてコメントしました。

2015(平成27)年8月26日
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/81797
管理規約による民泊禁止の限界、予防的措置、問題意識の共有の重要性についてコメントしました。

2015(平成27)年7月24日
TBS 「Nスタ」における特集「住民が管理会社に憤慨 高級マンションで何が」
https://www.facebook.com/lawyer.momoo/posts/930576253676052:0
(私のFacebookページです。)
管理組合による委託先管理会社変更に際し、変更前の管理会社が不適切な行為に及んだという事例について見解を述べました。

2015(平成27)年5月12日
産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/150512/afr1505120005-n2.html
管理組合による委託先管理会社変更に際し、変更前の管理会社が不適切な行為に及んだという事例について見解を述べました。

2014(平成26)年6月3日
FLASH(1286号)
自殺物件に関する賃貸仲介業者による重要事項説明義務違反についてコメントしました。

理事会における理事長解任の可否 ‐標準管理規約を前提に‐

先日の本ブログで触れたとおり、標準管理規約第35条は次のように定めています。

第35条 管理組合に次の役員を置く。
  一 理事長
  二 副理事長 ○名
  三 会計担当理事 ○名
  四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
  五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により【※理事のうちから、理事会で】選任する。
※今般の標準管理規約改正に伴い文言が若干修正されました。

つまり、同条によると、総会では「役員を誰にするか」だけを決めておき(第2項)、「誰がどのような役職に就くか」については理事が話し合って決める(第3項)ことになります(監事は直接総会で選任されますが(第2項)、その意味は別の機会に。)。

例えば、役員選任について上記規定を置くX管理組合(理事5名)においてA~Eが総会で理事に選ばれたとすると、このA~Eが話し合い「理事長はA、副理事長はB、会計担当理事はCとし、DとEは平理事」というように具体的な役職を決めるわけです。
(なお、この点に関連し、はるぶーさんが極めて実務的な問題を検討していますので、是非ご参照ください。)

www.e-mansion.co.jp

ところが、後日B~Eが「Aは理事長に相応しくない」と思うようになりました。B~Eとしては、比較的簡易な手続で済む理事会決議を以てAの理事長職を解きたいところです。
(なお、区分所有法第25条2項所定の裁判所に対する解任請求という方法もありますが「簡易な手法をとりたい」というB~Eの意向に反するのでここでは省略します。また、Aは頑固で自らは辞任しないと仮定します。)

この場合、理事会決議により
(1)Aを「役員から外す(Aは理事でもなくなる)」
(2)Aを「理事長職から外す(Aは平理事などになる)」
という2つの手法が考えられます。それぞれ許容されるでしょうか。

まず、手法(1)について。

上記のように標準管理規約第35条2項が「理事及び監事は、マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」と定めているとおり、「(具体的役職は別にして)役員を誰にするか」は総会で決めることになっていますから、それを理事会決議で覆してしまうことになる手法(1)は許容されません。
そのため「Aを平理事にもしたくない」ならば、総会決議を通じて役員から解任する必要があります。この点は、標準管理規約第48条13号が総会決議事項の一つとして「役員の選任及び『解任』並びに役員活動費の額及び支払方法」と定めていることも一つの根拠になります。

では、手法(2)は許容されるでしょうか。

管理規約に「理事会決議で理事長職を解くことができる」などと明記されていれば争いなく可能といえそうですが、上記のとおり標準管理規約の文言を採用している場合にはそのように明記されておりません。
標準管理規約において理事会の権限として根拠となり得るのは、冒頭でも紹介した同規約第35条3項の「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により【※理事のうちから、理事会で】選任する。」という規定のみとなります。

私は、以前からこれを「『誰を理事長に据えるか』を理事会判断に委ねている」規定であると理解し「理事会決議で(他の者の選任を伴って)理事長を解任することができる(即ち手法(2)は可能)」と考えており(株式会社の代表取締役を取締役会において解職する場合と同じような考え方です。)、実際そのようにアドバイスしたこともあります。

ただ、以前はそのことを直接解説・判断した文献・裁判例は見当たらず、逆に「理事会決議での解任を認めるには、その旨を規約に明記するのが望ましい」と解説されていた記事も見受けられました。
また、手法(2)を否定する論拠としての「上記第48条13号には『解任』とあるのに、第35条3項は『互選』『理事会で選任する』であって『解任』が含まれていない(つまり、総会では役員の選任も解任もできるが、理事会では選任しかできないのではないか)」という、条文文言に着目した指摘にも「なるほど」と思っていました。

そのため、ご相談に際しては「手法(2)は可能であると思います。」と私見としてアドバイスしつつ、こうした他説もあることもご紹介していました。

こうした中、RJC48にてこの問題が議論されたことをきっかけに『コンメンタールマンション区分所有法』(日本評論社)の第3版を調べてみたところ・・・
その150頁~151頁にかけて、同書第2版までにはなかった「理事・理事長の解任」という項目が新設されており、(上記手法(2)の場面について)役職の解任は、それらの選任に準ずるものと解され、理事長職の解任については理事会の決議で行うことができると解される、という上記私見と同趣旨の解説がなされていたのです。これは嬉しい。
(なお、同書の別巻である『コンメンタールマンション標準管理規約』の第35条の解説には「役員は総会で選任しているのであるから、解任も同様の方法で行うのが通常である」という指摘がありますが、これは上記手法(1)が許容されないことの説明であると思われます。)

もちろん、上記のとおり未だ確立した判例があるわけではありませんので、これも一つの見解に止まりますが、この分野ではおそらく最も詳しく定評のある文献による解説ですから、これまでよりは自信をもって「標準管理規約第35条に準拠した規約の下でも、手法(2)は可能と考えます。」とアドバイスできるようになったと思います。

ただ、このような解釈が論争になること自体が建設的ではありません。
そして、前回の本ブログでも書いたとおり(しつこいですが)標準管理規約はモデルに過ぎません。
そのため、やはり問題が顕在化する前に、皆様のマンションの管理規約にて「理事会決議を以て理事長職を解くことができる(又は逆に「解くことはできない」)」と分かり易く明確に定め、無用な争いが生じないようにしておくことをお勧めします。

標準管理規約に関する誤解と正解

もうかなり時間が経ってしまいましたが,6月22日に,マンションコミュニティ研究会が主催する「管理規約とコミュニティ〜スタイル多様化の時代へ〜」というテーマのフォーラムを聞きに行きました。

RJC48センターの應田さんと,今般の標準管理規約改正に先立って多くのメガマンション管理組合のコミュニティ活動に関するご意向を意見書にまとめた梶浦弁護士の貴重なお話を伺うことができました(私もちょっとだけマイクを握らせていただいたのですが,何か上手いこと言わなければと焦った挙句「良い管理組合とは,弁護士が介入しない管理組合です。」とコメントしてしまったので,相当数の潜在的顧客を失ったと思います。)。

フォーラムの詳しい様子は,同研究会主宰の廣田信子さんや,はるぶーさんミッキーさんのブログでも紹介されているので,そちらをご参照ください。

・・・と丸投げしてしまい,では私はこのフォーラムに関連し何を言いたいのかというと・・・

このフォーラムにて,廣田さんから「管理の現場から『今回の標準管理規約改正によるコミュニティ条項削除に伴って,コミュニティ活動を行えなくなったのでは』という懸念の声が上がっている。」という趣旨のお話がありました。

この懸念は2つの誤解を含んでいます。

一つは「管理組合におけるコミュニティ活動の可否と,今般の標準管理規約改正との関係」という問題であり,「標準管理規約の改正によりコミュニティ活動ができなくなった」という誤解です。

これについては先日このブログでも連載にて詳しく書いておきましたのでご参考ください(我ながら力作であり,まとめページまで作ったにも拘らず,はっきりいってあまりご覧いただけておりませんw 力が入りすぎたせいかも知れませんが。)。

momoo-law.hatenadiary.jp

 そしてもう一つは,より根本的な,
「各マンションの管理規約は標準管理規約に連動して自動的に改正される,又は,標準管理規約に準拠させる義務がある。」
という誤解です。

もちろん,正解は「標準管理規約は国交省が作ってくれている規約のモデルに過ぎませんので,もちろん参考にはなりますが,連動もしないし,義務もありません。」です。

このような誤解は,どうして生ずるのでしょうか。
やはり,区分所有法,管理規約,各種細則等,集会(総会)決議といった,管理組合における様々な規律の意義や相互関係に係る基本的知識が浸透していないため,管理規約のモデルに過ぎない標準管理規約の性質も誤解されてしまっているのだと思います。

ご存知のとおり,分譲マンションを主とする区分所有建物の権利関係は,「建物の区分所有等に関する法律」(いわゆる区分所有法)によって定められています。

しかし,分譲マンションの事情は物件ごとに全く異なりますから,一つの法律によって全てのマンションに共通して適用されるルールを設けることは合理的ではありません。

そのため区分所有法は,そのルールの多くについて「規約や集会決議によって,各マンションの所有者が自分達で決めなさい。」というスタンスをとっています(この「区分所有法に基づき規約で定める」という構造から,私はよく「規約は区分所有法の一部のようなもの」と説明します。)。

例えば,同法第25条1項は,

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者(※)を選任し、又は解任することができる。
※とりあえず「理事長」を指すとご理解ください。

と規定しています。
つまり,理事長を誰にするかについて,区分所有法自体では決められておらず,規約に定めがあればそれに従い,規約に定めがなければ集会決議によって定める,ということになります。

そして,この「規約」をどのように定めるかの「参考」として,上記はるぶーさんブログでも取り上げられている標準管理規約第35条は次のように定めているのです。

第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。

繰り返しますが,これはモデルに過ぎませんので,他のルールにすることもでき,例えば「理事長は○○氏とする。」と特定の個人にしているケースも存在します。
また,規約は上記第35条のように定めつつ,選任に係るより具体的な手順を「細則で定める。」としておくことも可能です。

当然,国交省が標準管理規約を改正したとしても,このケースのマンションが自主的に規約や細則を変更しない限りは,この「理事長は○○氏とする。」や細則で定められたルールに影響はありません。

「標準管理規約はモデルに過ぎない」ことはご理解いただけたでしょうか。とすれば,次のステップは「標準管理規約を参考にしつつ,ご自身のマンションの規約をどのように定めていくか」です。
ワクワクしますね・・・しませんか。でも,最近注目されている民泊を管理規約上許容するか否かも,まさにこのステップの問題ですから,多くの管理組合にとって決して他人事ではありません(私のブログもご参照ください。)。

momoo-law.hatenadiary.jp

ただ,区分所有法が「規約で定める」ことを許容しており,また標準管理規約がモデルに過ぎないとしても,「どんな事柄であっても,またどのような内容であっても,規約で自由に定めて良い」というわけではないことには注意が必要です。

・・・この点は,また次の機会に詳しくご案内しようと思います。

ポエムを捨てよ,町へ出よう

先日重たい連載をようやく終えましたので,「このブログを始めるまで」で書き始めた私自身のマンション購入記を続けてみたいと思います。

なお,言うまでもなく,これはあくまで私の体験記に過ぎません。
いわゆる「購入術」のような情報を得たいと思っている方は,本ブログはボンヤリ眺める程度にとどめ,のらえもんさんの本や最近始まったはるぶーさん達によるスムログの高レベルなブログをご参照ください。 

さて,「このブログを始めるまで」では麻布十番駅のトイレに駆け込んだおかげでSUUMOに出会えたところまで触れました。

その頃住んでいた麻布十番の賃貸マンションは,六本木ヒルズと東京タワーの両方を眺められるというドヤ部屋でしたが,どうも落ち着きません。

それもそのはず,私は高いところがとても苦手なのです。
そのため購入にあたってもタワマンに興味を持たず(低層階は少々検討しました),基本的には中~低層マンションを想定していました。
最終的には世田谷区の物件を購入し大満足しているわけですが,最初から同区に狙いを定めていたわけではありません。

では,このドヤ部屋を拠点として始まったマンション探しの旅を経て,私はどのように世田谷に辿り着いたのでしょうか。

まだまだ純朴だったその頃の私は,マンション購入学部1年生必修科目であるマンションポエムの朗読にも熱心に取り組んでいました。

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ただ,法学部の1年生が「善意の第三者」だの「信義則」だのと法律用語を使いたくなるのと同じように,「寄り添う」とか「静謐な」とか「住まう」が口グセになったことで反省した私は,きちんと物件概要を読むようになりました。
すると今度は「データ」にはまり,またSUUMOの次号を待ちきれないこともあって,中古古物件情報サイトで片っ端から資料を取り寄せてはニヤニヤ眺めるようになってしまったのです。

・・・これでは効率的に良い物件を絞れません。
世の中には「物件情報収集自体が趣味」という方もおられますが,私は「自分と家族が住まう静謐な部屋」を探しているのですから,データばかりに寄り添っている場合ではありません。

そんな中,たまたま仕事で「有名な高級住宅地」を歩く機会がありました。SUUMOやら資料やらネット情報やらの影響で「住宅地ブランド志向」に染まってしまっていた私は「どれほどステキなところなんだろう」とワクワクして出かけたのです。

ところが・・・なんか違う。いい所であることは間違いないけど,あまり住みたくない。ここに自分や家族が住むことをイメージできない。まぁそもそも予算を大きく超える。
こういうことが2,3回続き,ようやく当然のことに気付いたのです。
そうなんです。どんなに有名で評判が良い街でも相性があるんです。

これをきっかけに,ある程度興味を持った物件を見つけた場合には「とにかく一度最寄駅から物件まで歩いてみる」を実践するようになりました。

モデルルームを見たり内覧したりするわけではなくただの散歩ですから,予約も要らず自分の都合でふらっと行けますし,大して時間もかかりません。
もちろん物件自体の様子も眺めますが,何より街の雰囲気を感じることを目的にブラブラ歩くのです。
そして,その雰囲気が気に入らなければ,近隣で多数販売されている全ての物件を一気に選択肢から外すことができるのです。なんて効率的なんでしょう。

この勢いで,私は一気に静謐な住まいを見つける・・・はずでした。

連載の疲れが残っているので,今回はこの辺で。
続きは・・・いつになることやら。

標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除 -まとめ-

標準管理規約改正とコミュニティ条項削除に関する本ブログ記事URLをまとめました。

標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除 
本ブログの第1回記事です。
この問題について網羅的に短く(と言っても十分長文ですが)まとめたものです。

この第1回記事を踏まえ,また福井先生と鎌野先生のご講演・論稿をきっかけに,この問題についてより詳細に検討を試みた結果,以下のような全7回に及ぶ連載となりました。

続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(1) 
-君がいた夏は,遠い夢の中- 
・上記両先生のご講演・論稿のご紹介


続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(2) 
-区分所有法第3条とコミュニティ活動-  
・「管理組合はコミュニティ活動を行い得るか」は区分所有法第3条の解釈の問題
・福井先生のお考え「同条の文言に忠実に捉えるべき。夏祭りへの管理費支出は違法」


続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(3)
-各見解の位置づけ-
・区分所有法第3条は一義的な条項ではない
・「物理的管理限定説(最狭義説)」
・「限定的拡張説(狭義説)」
・「夏祭り許容説(広義説)」


続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(4)
-参考4事例と町内会・自治会-
・裁判例の検討
・参考4事例と町内会との関係,参考4事例とコミュニティ活動との(無)関係(総論)


続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(5)
-参考4事例の射程-
・参考4事例の意義・内容・射程
・参考4事例と町内会との関係,参考4事例とコミュニティ活動との(無)関係(各論)

続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(6)
-福井先生のご見解に係る考察-
・福井先生が想定されている「違法なコミュニティ活動」の具体的態様とは
国交省が示した「考え方」
・濱崎恭生先生『建物区分所有法の解説』

続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(7)
-空に消えてった,打上げ花火- 
・私が見てきた現場の姿
・具体性を欠く議論によるコミュニティ条項削除への疑問
・鎌野先生のご見解,日本マンション学会における議論
・最後に

続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(7) -空に消えてった,打上げ花火-

続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(1) -君がいた夏は,遠い夢の中-(「本連載(1)」)
続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(2) -区分所有法第3条とコミュニティ活動-(「本連載(2)」)
続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(3) -各見解の位置づけ-(「本連載(3)」)
続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(4) -参考4事例と町内会・自治会-(「本連載(4)」)
続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(5) -参考4事例の射程-(「本連載(5)」)
続・標準管理規約の改正とコミュニティ条項の削除(6) -福井先生のご見解に係る考察-(「本連載(6)」)

に続く連載7回目(各項目の見出しは通し番号)です。
予定していた公開日から大幅に遅れてしまいました。
長かった連載もようやく完結します。

11 私が見てきた管理組合

前回の最後に,福井先生・国交省と私との考え方の違いは「イメージしている具体的態様」の違いに起因するのではないか,つまり,福井先生は「管理意識・モラル」のレベルが低い態様を,私はその逆の態様を想定しており,その違いが意見の違いに表れているのではないか,と述べました。

私は仕事柄,どちらかといえば「管理意識・モラル」のレベルが低く,トラブルが生じている管理組合に関わる機会の方が多いといえます(依頼者の方はそのような現状を危惧してご相談にいらっしゃるからです。)。
ただ,そういった管理組合は,そもそも「管理組合という団体としてコミュニティ活動を行う」という意識すらない(規約・予算上「コミュニティ活動費」という項目が存在しない)ことが殆どですので「コミュニティ活動の名を借りた管理費の私的・不適切使用」という事象にはあまり遭遇したことがありません。
(なお,こういった規約・予算上の根拠もないままに役員が勝手に管理費を使っているのならば,それは単なる私的流用であり「管理組合はコミュニティ活動を行えるか」という問題ではありません。)

他方,積極的に,きちんと予算計上してコミュニティ活動を行えるほど「管理意識・モラル」のレベルが高い管理組合においても,「名を借りた私的・不適切使用」を許さない体制がきちんと構築され監視の目も厳しいため,私はこちらでも今のところ「コミュニティ活動の名を借りた管理費の私的・不適切使用」という事例に遭遇したことはありません(評価の問題ではありますが。)。
※こうした「レベルの高い」管理組合の情報を得たい方は,多くのマンション管理組合理事長経験者が集う勉強会「RJC48」を覗いてみることをお勧めします。

もちろん,これらは私という一人の弁護士による,日本にあるマンションのうちほんの一部に関する経験談に過ぎません。

これに対し現検討会(本連載(1)参照)は,改正標準管理規約検討に際し,長期間に亘った検討会の過程で,昨今の国内の管理組合におけるコミュニティ活動について,かなり広く綿密に視察・検証をしたのだと思います。
とすれば,その中には規約・予算の根拠を備えて大々的に夏祭りを実施し,所有者・住民から大いに好評を得ている管理組合もあったはずですし,逆に,夏祭りの名を借りた不適切なケースもあったはずです(このような管理組合こそ調査対象になったのではと推察します。)。
ところが,改正標準管理規約やそのコメントにおいては,そういった現場の姿,つまり,どのような規約・予算化という手続を経て,どのような態様の夏祭りが開かれ,どのような評価を得ているか,そしてこれらのうちどのような場面を前提として可否が論じられているのかという点が明確には表れていないように感じられ,私はこれが議論の行き違いを生んでいるのではないかと思っています。

「前提が具体的でない議論を以て,現に素晴らしい活動を行っている管理組合の邪魔をすべきではない。」というのが,今回のコミュニティ条項削除に対する私の感想です。 

なお,私も「自治会と管理組合とを峻別し,コミュニティ活動は前者に集約する」という方法に異論はありません。私が述べたいことは「様々な事情・経緯に基づき管理組合自身が行っているコミュニティ活動を否定すべきではない」ということです。

12 コミュニティ活動の活かし方

福井先生は都市住宅学第93号(本連載(1)参照)の結び(11頁)において,「現在の制度を前提とする限り,今後居住の場としてマンション購入という危険な選択を人々が行うことは必ずしも賢明とはいえないと考えているが(中略)できるだけその資産価値の下落を防ぐことは社会にとっても重要である」と述べておられます。
仕事柄多くのマンションの皆様とお付き合いをさせていただき,自身も所有者である私の経験からすれば,マンションで生ずるトラブルの殆どは人間関係に起因します。そして,金銭的な問題や困難が存在しても,それが「トラブル」になるかどうかは人間関係次第であり,また人間関係が円滑であれば,多くの金銭的問題の発生・深刻化も回避し得ると考えています。

もし福井先生のご主張のとおりマンション購入が「危険な選択」なのであれば(私自身はそう思いませんが),夏祭りのようなコミュニティ活動を否定するより,それによる人間関係の円滑化を通じて危険を回避していく方が,前向きではないかと思うのです。

13 日本マンション学会

13-1 鎌野先生のご見解

さて,長々と述べて参りましたが,「たかが一弁護士がいくら力説しても信じられない。」という感想をお持ちの方も多いでしょう。
安心してください。
最終回の,しかも終盤までほとんど触れずに来てしまいましたが,区分所有法分野における第一人者であり前検討会(本連載(1)参照)座長であった鎌野邦樹先生(日本評論社の「コンメンタールマンション区分所有法」という分厚い書籍をご覧になったことがある方も多いでしょう。)も「一定の要件を充たせば,管理組合は夏祭りを行って差し支えない。」とのお考えのようです(本連載(1)でご紹介した日本マンション学会千葉大会におけるご講演に際して私が汚い字で提出した質問票に対し,お答えいただきました。同種の質問をなされた方が他にも多くおられたため取り上げてくださったのだと思います。)。
詳しくは,本連載(1)でご紹介したマンション学54号をご参照ください。

13-2 日本マンション学会千葉大

また,この日本マンション学会千葉大会の各分科会において,マンションのコミュニティ形成について活発な議論が展開されておりました。少なくとも同学会においては,管理組合によるコミュニティ活動の重要性・有用性に関する認識が共有されているものと思います。同学会の様子は,廣田信子さんもブログで取り上げておられます。

14 最後に

マンションや管理組合の状態・機能・方針・組合員の考え方は物件ごとに千差万別であり,その大前提を無視しては有意な議論など不可能です。
そして,不正が横行するような状態の悪い物件にこそ求められるような制約を,専門家並みの知識・情熱を備えた役員を多数擁し高度な管理を実現している物件にまでも及ぼすことによって,せっかく成熟・発展した管理組合の足を引っ張るべきではありません。もちろん,逆もまた然りです。
そのため,「標準」管理規約そのものの在り方も考える必要があるような気がします。

管理組合の皆様におかれては,きちんとした手続により規約・予算等を整えた上で,楽しく,但しはめをはずさぬよう注意しつつ,各管理組合にマッチしたコミュニティ活動を行って,充実したマンションライフを送っていただきたいと思います。

長~い連載を最後まで読んでいただき,有難うございました。
次回は,やや軽いテーマで書きたいと思っています。