「絶対に満足するマンション購入術」に学ぶ絶対に身につけておきたい情報の選び方

のらえもんさんの新作本(以下「のらえ本」)が出ましたので早速拝見しました。

シリーズ(?)前作本当に役立つマンション購入術|株式会社廣済堂出版 kosaido publishingと同じくマンション購入初心者にも分かり易く丁寧なアドバイスが満載です。
ネタバレをするわけにはいきませんから詳しい内容には触れずにおきます。ごく一部を挙げると、特に私の取扱い分野であるマンション管理に関する指摘や先般の台風時に起こった「武蔵小杉dis」への疑問については、首がもげるほど頷きました(後者については私も昨年ブログを書きましたので便乗して貼っておきます。)。
宇崎ちゃんが二子玉川と武蔵小杉のタワマンで献血する話ではありません - 弁護士・マンション管理士 桃尾俊明のブログ
同じような話としてはこちらも。
練馬区の都議会議員の先生!見ているなッ! - 弁護士・マンション管理士 桃尾俊明のブログ

「ネタバレを避けるために具体的内容に触れずに感想を書く」のはなかなか難しいのですが、本作に限らずのらえもんさんの著書・ブログ・ツイートには共通点があります。そして、その共通点こそマンション購入に限らず「情報の取捨選択」において非常に重要な点であると思います。

それは「具体的な言葉と数字と計算によって説明されている」ことです。
当たり前のことです。しかし、実は、世の中の多くの情報はそうではありません。

まずはこちらの記事をどうぞ。
なかなか刺激的なタイトルですね。エリート共働き夫婦がタワマンを買うと、五輪後に本当の地獄を見るようです。おーコワ。では、どのような根拠があるのかを順にみてみましょう。

1ページ目は、現在いかに多くのタワマンが供給されているかが紹介されています。数字が挙げられて具体的です。
2ページ目から本題に入ったところ、急に抽象化します。「←」は私のツッコミです。
「タワマンで目立ち始めたのが雨漏りの問題」←タワマンのどの程度の割合で雨漏りが発生したのか?
「・・・経年とともに劣化する。タワマンのとりわけ湾岸エリアはその度合いが通常のマンションなどとは比べものにならないほど激しいのだ。」←「度合い」はどの程度?「比べものにならない」とはどれくらい?
「タワマンで窓枠等から浸水する被害に悩まされている住戸が多いのはこうした要因によるものといわれている。」←「多い」とはどれくらい?
「工期は通常マンションの数倍かかるといわれる。」←何倍?
「一基数千万円程度の負担となる。」←1千万と9千万とでは大違いでは?
「更新工事をする場合、大変な金額となる。」←「大変な金額」はいくらくらい?
「その高額なメンテナンス費用を永遠に負担していくことを覚悟せねばならないのだ。」←「高額」はいくらくらい?
3ページ目も続きます。
「狼狽して売りに出す投資家が増えて価値の下落に拍車をかける。」←どの程度下落する?
「資産価値を保ち続けていくことはますます難しくなっていくだろう。」←どのようなペースで資産価値が落ちていく?
最終4ページ目
「だが、こうして無理を重ねて手にしたタワマンは実は災害に弱く、建物維持コストに膨大な負担を強いられ、いざ売却しようにも同様な住戸が多いだけに価値を保ちづらく、資産性が高くないということが露呈するとどうなるのだろうか。」←前述のとおり「弱い」「膨大な」「多い」「高くない」がいずれも抽象的では?

これに対しのらえ本では「東向きと南向きとの価格差は月額換算するといくらか」まで計算されています(当然、これは「こんなことまで」という趣旨の一例です。より重要なテーマでは、更に緻密な検証がなされています。)。

もちろん、のらえ本に出てくる数字や計算の一部も色々な仮定を積み重ねたものですから、こうした数字全てに普遍性があるわけではありません。
また、文字数の制約があり無償で閲覧できる記事と、有償の新書とでは情報量・質に差があることは当然であり、これのみによって「ネットの無償記事は信用ならない」というつもりは毛頭ありません。私自身も、頻繁にこうした記事を参考にしています(というわけで、上記記事を書かれた牧野さんすみません。)。

しかし、マンション購入のような人生の一大選択の場面においては、その判断を誤った場合の後悔や経済的負担の影響はとても大きなものですから(←自分で言っといて抽象的w)、やはり良質な情報を得ておきたいはずです。
そして、「具体的な言葉と数字と計算」の有無は、「良質か否か」の重要な判断基準の一つ(三つ?)です。

また、こうした情報を得るための金銭的負担や理解するための労力を惜しむべきではありません。例えば、のらえ本は1,000円未満で買えますから、数千万円(←1千万と9千万とでは大違い)のマンションを買うための情報料としては極めて安価といってよいと思います。

このような話は、何もマンション購入に限った話ではありません。
そう、例えば「法的な問題」に直面した際も同様です。無料で閲覧できるネット上の記事を沢山集めるのもよいですが、その場合には「具体的な言葉と数字と計算」(法的問題においては、数字と計算は「条文と理屈」に言い換えられそうです。)で語られているか、に注意してみてください。

そして「桃尾のブログはいつも『初心者向けに分かり易くするため』などと言い訳してボカしているくせに」と気づいたそこの貴方。さっきもお伝えしたとおり、良質な情報は有料なのです…。