管理組合に顧問弁護士がいると良いことがありそう 前編

「管理組合に顧問弁護士を」といっても、まだまだ「そんなものは必要ない」「所詮近所づきあいの延長なのだから自分達で解決できるし、解決すべきだ」「余計な金がかかる」というご意見が一般的であろうと思います。
そこで、そんな皆様の誤解を解くために、管理組合に顧問弁護士がいるとどんな良いことがあるかを2回に亘って全力でご紹介しようと思います。

1 法的紛争の予防
管理組合における法的紛争の多くは、ある日突然前触れもなく発生するわけではありません。事前準備や対応の不足・不備という「種」が後日芽を出し木が育ち大きく燃えるというケースが殆どです(決して弁護士がガソリンを撒いているわけではありません。)。
例えば、総会の招集・進行手続に瑕疵がある、議案が法律・規約に抵触している、議事録に記載されるべき事項が記載されていない、逆に余計なことが書かれている、管理費等滞納者や規約違反者に対する請求・警告が事後的に確認できる方法でなされていない、といった事情が種になります。
逆にいえば、こうした種を一つ一つ種を潰しておけば、法的紛争の多くを予防することができます。
見つかった小さな種を潰すことは、管理会社の助言や役員の皆様ご自身による研究によってクリアできているかも知れません。
しかし、種を見つけるには実は経験やコツが必要ですし、少しでも見落とすと命取りになりかねません。
顧問弁護士が継続的・日常的に関与することによって、こうした種の多くを除去することができるはずです。

2 負担軽減
理事長や役員の皆様(輪番制の場合はなおさら)の多くは、いわゆる事業会社の代表者と異なりマンション管理のプロではありませんし、ご自身の生活圏でのトラブルであることも相まって、その法的紛争によって受ける精神的負担はとても大きなものです。
他方、その対応のために強いられる物理的・時間的負担は、紛争を抱えた会社の代表者とあまり変わりません。場合によっては責任も生じますし、トラブルの相手方と対峙して交渉したり対応方法を勉強したりしなければならず、それらが正解であるかもご自身で判断することは困難ですから、心配は尽きません。
もちろん管理会社からも一定の助力を得られますが、管理会社はその立場上、踏み込んだ関与をし辛いと言わざるを得ません。
弁護士、しかも長期的な信頼関係のある顧問弁護士に依頼・相談することができれば、こうした心理的負担はかなり軽減できるはずです。

3 一般の(非役員の)組合員からの信頼獲得
熱心な役員の方々は、一生懸命勉強して管理組合運営に取り組み、総会等においてその成果を組合員に示して承認を得ようとします。
しかし、殆どの組合員は総会(の議案書)において初めて課題に直面します。そして彼らも専門家ではなく、また、役員が専門家ではないことも知っていますから、「そのやり方は違法ではないか」とか「間違っていたらどうするのだ」などといった不安を抱きます。そうした意見が役員にぶつけられることも多いでしょう。
顧問弁護士が事前に関与して専門家として説明しておけば、組合員の不安を軽減することや、役員の皆様が組合員から受けるプレッシャーを和らげることが期待できます。

4 対応の迅速性
全ての弁護士が区分所有法や管理組合に関する知識を備えているわけではありませんから、これらに係る知見のない弁護士は相談を受けた後に研究した上で対応しなければなりません。
また、初めて接する管理組合から相談を受けた場合には、一から事情を確認しなければなりません。
既にその管理組合の事情をよく知っている顧問弁護士であれば、このようなプロセスを経ずに迅速に対応することが可能です。

・・・ここまでで既に「早く弁護士と顧問契約を結ぼう」とのお考えに至ったかも知れませんが、次回も続けます!!!

後編はこちら↓

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