各種メディア掲載・出演歴

これまでのメディア掲載・出演歴を整理しました。
上から、最近のもの→過去のもの、と遡る順にまとめています。
もし今後も掲載・出演の機会をいただければ、随時更新していきます。
(リンク先の一部は有料記事です。)

2017(平成29)年9月26日
住宅新報
「民泊とマンション管理規約 下」
http://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000033689
民泊新法成立に伴う標準管理規約改正に関するコメントが掲載されました。

2017(平成29)年1月31日
ダイヤモンドMOOK マンション管理&修繕 完全ガイド2017
「熱血マンション管理組合理事集団RJC48の本音トーク
最強!マンション管理組合のつくり方
https://www.diamond.co.jp/magazine/650412417.html
RJC48の主要メンバー座談会に参加させていただきました。

2016(平成28)年5月22日
日経ヴェリタス
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02626570R20C16A5K15200/
管理規約による民泊禁止は区分所有法を根拠とする措置であることを説明しました.。

2016(平成28)年1月12日
産経新聞
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120065-n1.html
民泊自体に関する知識の共有と禁止or許容に係る意思決定が必要であること、そして(禁止するならば)管理規約の整備を急ぐべきという見解を述べました。

2015(平成27)年12月16日
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H97_V11C15A2CC1000/
管理規約による民泊禁止の法的効果と、規制緩和の方向性についてコメントしました。

2015(平成27)年8月26日
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/81797
管理規約による民泊禁止の限界、予防的措置、問題意識の共有の重要性についてコメントしました。

2015(平成27)年7月24日
TBS 「Nスタ」における特集「住民が管理会社に憤慨 高級マンションで何が」
https://www.facebook.com/lawyer.momoo/posts/930576253676052:0
(私のFacebookページです。)

管理組合による委託先管理会社変更に際し、変更前の管理会社が不適切な行為に及んだという事例について見解を述べました。

2015(平成27)年5月12日
産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/150512/afr1505120005-n2.html
管理組合による委託先管理会社変更に際し、変更前の管理会社が不適切な行為に及んだという事例について見解を述べました。

2014(平成26)年6月3日
FLASH(1286号)
自殺物件に関する賃貸仲介業者による重要事項説明義務違反についてコメントしました。

理事会における理事長解任の可否 ‐標準管理規約を前提に‐

※平成29年12月18日追記
本記事に関しては平成29年12月18日最高裁判決に係る同日付のこの記事も併せてご参照ください。

momoo-law.hatenadiary.jp

 

先日の本ブログで触れたとおり、標準管理規約第35条は次のように定めています。

第35条 管理組合に次の役員を置く。
  一 理事長
  二 副理事長 ○名
  三 会計担当理事 ○名
  四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
  五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により【※理事のうちから、理事会で】選任する。
※今般の標準管理規約改正に伴い文言が若干修正されました。

つまり、同条によると、総会では「役員を誰にするか」だけを決めておき(第2項)、「誰がどのような役職に就くか」については理事が話し合って決める(第3項)ことになります(監事は直接総会で選任されますが(第2項)、その意味は別の機会に。)。

例えば、役員選任について上記規定を置くX管理組合(理事5名)においてA~Eが総会で理事に選ばれたとすると、このA~Eが話し合い「理事長はA、副理事長はB、会計担当理事はCとし、DとEは平理事」というように具体的な役職を決めるわけです。
(なお、この点に関連し、はるぶーさんが極めて実務的な問題を検討していますので、是非ご参照ください。)

www.e-mansion.co.jp

ところが、後日B~Eが「Aは理事長に相応しくない」と思うようになりました。B~Eとしては、比較的簡易な手続で済む理事会決議を以てAの理事長職を解きたいところです。
(なお、区分所有法第25条2項所定の裁判所に対する解任請求という方法もありますが「簡易な手法をとりたい」というB~Eの意向に反するのでここでは省略します。また、Aは頑固で自らは辞任しないと仮定します。)

この場合、理事会決議により
(1)Aを「役員から外す(Aは理事でもなくなる)」
(2)Aを「理事長職から外す(Aは平理事などになる)」
という2つの手法が考えられます。それぞれ許容されるでしょうか。

まず、手法(1)について。

上記のように標準管理規約第35条2項が「理事及び監事は、マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」と定めているとおり、「(具体的役職は別にして)役員を誰にするか」は総会で決めることになっていますから、それを理事会決議で覆してしまうことになる手法(1)は許容されません。
そのため「Aを平理事にもしたくない」ならば、総会決議を通じて役員から解任する必要があります。この点は、標準管理規約第48条13号が総会決議事項の一つとして「役員の選任及び『解任』並びに役員活動費の額及び支払方法」と定めていることも一つの根拠になります。

では、手法(2)は許容されるでしょうか。

管理規約に「理事会決議で理事長職を解くことができる」などと明記されていれば争いなく可能といえそうですが、上記のとおり標準管理規約の文言を採用している場合にはそのように明記されておりません。
標準管理規約において理事会の権限として根拠となり得るのは、冒頭でも紹介した同規約第35条3項の「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により【※理事のうちから、理事会で】選任する。」という規定のみとなります。

私は、以前からこれを「『誰を理事長に据えるか』を理事会判断に委ねている」規定であると理解し「理事会決議で(他の者の選任を伴って)理事長を解任することができる(即ち手法(2)は可能)」と考えており(株式会社の代表取締役を取締役会において解職する場合と同じような考え方です。)、実際そのようにアドバイスしたこともあります。

ただ、以前はそのことを直接解説・判断した文献・裁判例は見当たらず、逆に「理事会決議での解任を認めるには、その旨を規約に明記するのが望ましい」と解説されていた記事も見受けられました。
また、手法(2)を否定する論拠としての「上記第48条13号には『解任』とあるのに、第35条3項は『互選』『理事会で選任する』であって『解任』が含まれていない(つまり、総会では役員の選任も解任もできるが、理事会では選任しかできないのではないか)」という、条文文言に着目した指摘にも「なるほど」と思っていました。

そのため、ご相談に際しては「手法(2)は可能であると思います。」と私見としてアドバイスしつつ、こうした他説もあることもご紹介していました。

こうした中、RJC48にてこの問題が議論されたことをきっかけに『コンメンタールマンション区分所有法』(日本評論社)の第3版を調べてみたところ・・・
その150頁~151頁にかけて、同書第2版までにはなかった「理事・理事長の解任」という項目が新設されており、(上記手法(2)の場面について)役職の解任は、それらの選任に準ずるものと解され、理事長職の解任については理事会の決議で行うことができると解される、という上記私見と同趣旨の解説がなされていたのです。これは嬉しい。
(なお、同書の別巻である『コンメンタールマンション標準管理規約』の第35条の解説には「役員は総会で選任しているのであるから、解任も同様の方法で行うのが通常である」という指摘がありますが、これは上記手法(1)が許容されないことの説明であると思われます。)

もちろん、上記のとおり未だ確立した判例があるわけではありませんので、これも一つの見解に止まりますが、この分野ではおそらく最も詳しく定評のある文献による解説ですから、これまでよりは自信をもって「標準管理規約第35条に準拠した規約の下でも、手法(2)は可能と考えます。」とアドバイスできるようになったと思います。

ただ、このような解釈が論争になること自体が建設的ではありません。
そして、前回の本ブログでも書いたとおり(しつこいですが)標準管理規約はモデルに過ぎません。
そのため、やはり問題が顕在化する前に、皆様のマンションの管理規約にて「理事会決議を以て理事長職を解くことができる(又は逆に「解くことはできない」)」と分かり易く明確に定め、無用な争いが生じないようにしておくことをお勧めします。

標準管理規約に関する誤解と正解

もうかなり時間が経ってしまいましたが,6月22日に,マンションコミュニティ研究会が主催する「管理規約とコミュニティ〜スタイル多様化の時代へ〜」というテーマのフォーラムを聞きに行きました。

RJC48センターの應田さんと,今般の標準管理規約改正に先立って多くのメガマンション管理組合のコミュニティ活動に関するご意向を意見書にまとめた梶浦弁護士の貴重なお話を伺うことができました(私もちょっとだけマイクを握らせていただいたのですが,何か上手いこと言わなければと焦った挙句「良い管理組合とは,弁護士が介入しない管理組合です。」とコメントしてしまったので,相当数の潜在的顧客を失ったと思います。)。

フォーラムの詳しい様子は,同研究会主宰の廣田信子さんや,はるぶーさんミッキーさんのブログでも紹介されているので,そちらをご参照ください。

・・・と丸投げしてしまい,では私はこのフォーラムに関連し何を言いたいのかというと・・・

このフォーラムにて,廣田さんから「管理の現場から『今回の標準管理規約改正によるコミュニティ条項削除に伴って,コミュニティ活動を行えなくなったのでは』という懸念の声が上がっている。」という趣旨のお話がありました。

この懸念は2つの誤解を含んでいます。

一つは「管理組合におけるコミュニティ活動の可否と,今般の標準管理規約改正との関係」という問題であり,「標準管理規約の改正によりコミュニティ活動ができなくなった」という誤解です。

これについては先日このブログでも連載にて詳しく書いておきましたのでご参考ください(我ながら力作であり,まとめページまで作ったにも拘らず,はっきりいってあまりご覧いただけておりませんw 力が入りすぎたせいかも知れませんが。)。

momoo-law.hatenadiary.jp

 そしてもう一つは,より根本的な,
「各マンションの管理規約は標準管理規約に連動して自動的に改正される,又は,標準管理規約に準拠させる義務がある。」
という誤解です。

もちろん,正解は「標準管理規約は国交省が作ってくれている規約のモデルに過ぎませんので,もちろん参考にはなりますが,連動もしないし,義務もありません。」です。

このような誤解は,どうして生ずるのでしょうか。
やはり,区分所有法,管理規約,各種細則等,集会(総会)決議といった,管理組合における様々な規律の意義や相互関係に係る基本的知識が浸透していないため,管理規約のモデルに過ぎない標準管理規約の性質も誤解されてしまっているのだと思います。

ご存知のとおり,分譲マンションを主とする区分所有建物の権利関係は,「建物の区分所有等に関する法律」(いわゆる区分所有法)によって定められています。

しかし,分譲マンションの事情は物件ごとに全く異なりますから,一つの法律によって全てのマンションに共通して適用されるルールを設けることは合理的ではありません。

そのため区分所有法は,そのルールの多くについて「規約や集会決議によって,各マンションの所有者が自分達で決めなさい。」というスタンスをとっています(この「区分所有法に基づき規約で定める」という構造から,私はよく「規約は区分所有法の一部のようなもの」と説明します。)。

例えば,同法第25条1項は,

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者(※)を選任し、又は解任することができる。
※とりあえず「理事長」を指すとご理解ください。

と規定しています。
つまり,理事長を誰にするかについて,区分所有法自体では決められておらず,規約に定めがあればそれに従い,規約に定めがなければ集会決議によって定める,ということになります。

そして,この「規約」をどのように定めるかの「参考」として,上記はるぶーさんブログでも取り上げられている標準管理規約第35条は次のように定めているのです。

第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。

繰り返しますが,これはモデルに過ぎませんので,他のルールにすることもでき,例えば「理事長は○○氏とする。」と特定の個人にしているケースも存在します。
また,規約は上記第35条のように定めつつ,選任に係るより具体的な手順を「細則で定める。」としておくことも可能です。

当然,国交省が標準管理規約を改正したとしても,このケースのマンションが自主的に規約や細則を変更しない限りは,この「理事長は○○氏とする。」や細則で定められたルールに影響はありません。

「標準管理規約はモデルに過ぎない」ことはご理解いただけたでしょうか。とすれば,次のステップは「標準管理規約を参考にしつつ,ご自身のマンションの規約をどのように定めていくか」です。
ワクワクしますね・・・しませんか。でも,最近注目されている民泊を管理規約上許容するか否かも,まさにこのステップの問題ですから,多くの管理組合にとって決して他人事ではありません(私のブログもご参照ください。)。

momoo-law.hatenadiary.jp

ただ,区分所有法が「規約で定める」ことを許容しており,また標準管理規約がモデルに過ぎないとしても,「どんな事柄であっても,またどのような内容であっても,規約で自由に定めて良い」というわけではないことには注意が必要です。

・・・この点は,また次の機会に詳しくご案内しようと思います。